「余談だ。今日はバルト9に行ったが、何気なく見知らぬ他人の会話が耳に入った」
「それで?」
「コクリコ坂面白いってさ。母親が2回も見たが本人も一緒に2回も見たと言っていた。結局、母親も本人もあの映画を気に入ったようだ」
「それは凄いじゃないか」
「今夏の映画は、やはりコクリコ坂の勝ちみたいだな」
「それだけ支持されているってことだね」
「想像以上に支持が手厚い。実際に見た人からは良い評判しか聞かない」
「勝因は何だと思う?」
「嘘が少ないことだと思うよ」
「嘘?」
「主人公は本当に笑わない。笑ってるシーンは本当に少ない。でも、本当に家事を切り盛りしている高校生なら日々の雑用に追われて笑わなくて当たり前だろう」
「それが、嘘が無いってことだね」
「あと空間的にもな」
「ビジュアル表現の話だね」
「それから1963年は近くて遠い。現在とそっくりだが、しかしかなり遠い。それが、ほどよいファンタジー感になっていると思う」
「現在とそっくりだから良く分かるけど、目の前の現実じゃ無いってことだね」